猊鼻渓
日本の景色 100選
岩手県

岩手県 猊鼻渓
(Geibikei)
奥州最大の河川である北上川水系のひとつ「砂鉄川(Satetsu gawa)」が、北上川(Kitakami gawa)と合流する手前およそ15kmのところに、高さおよそ100mを超える断崖絶壁がおよそ2kmつづく絶景ポイントがあります。それが岩手がほこる「猊鼻渓(げいびけい)」。藩吏などによる探勝の労を嫌った村人により長い間隠し続けられてきたため、手つかずの自然のまま環境保全の対象となり、まるで仙境のごとき景観が残されています。春には萌黄色、夏には深緑色、秋には錦色、冬には水墨画さながらの幽玄な景色が堪能できる舟あそびで、のんびりと贅沢な時間を過ごしませんか?
ベストシーズン
猊鼻渓の舟下りは一年中楽しめますが、おすすめは5~6月の藤の花のシーズン。断崖絶壁を紫色に染める美景は猊鼻渓ならではのものです。
行き方
最寄り空港はいわて花巻空港。猊鼻渓までは東北自動車道を使って車でおよそ1時間6分です。また東北・北海道新幹線はやぶさをご利用の方はJR一ノ関駅で乗り換え。JR猊鼻渓駅まではおよそ30分です。また一ノ関駅前からバスも出ています。所要時間はおよそ42分です。
現地の楽しみ方
■猊鼻渓舟下り
深山幽谷の「猊鼻渓」を船頭が棹一本で巧みに舟を操る名物「猊鼻渓舟くだり」。川霧の立つ日に舟を浮かべればまるで雲の上をいくような趣を味わえます。「げいび追分」を聞きながら、周囲の植物が見せる四季折々の色彩を愛で、透き通った水に住むハヤやコイなどの魚たちとの追いつ追われつの舟あそびは、心洗われる体験となるはずです。所要時間は往復でおよそ90分です。
■幽玄洞(ゆうげんどう)
猊鼻渓から北へおよそ2kmの「幽玄洞(Yugendo)」は、およそ3億5千万年前(古生代中期)の地層を有し日本で最古の鍾乳洞と言われています。日本でも有数の化石のメッカで、海洋底拡大説の資料となるウミユリの化石が、日本の岩盤上ではじめて発見されたのはここ「幽玄洞」。また三葉虫の化石の完全体やフズリナ、古代サンゴなど生物学上の貴重な解明資料となる化石が多く発見されています。それらの化石とともに、浄魂の泉と呼ばれる水深10メートル以上の地底湖も見学することができます。
■厳美渓(げんびけい)
猊鼻渓をもつ砂鉄川同様、北上川水系のひとつ「磐井川(いわいがわ)」にも、川の浸食によって形成された奇岩や岩肌のダイナミックな景観がおよそ2kmつづく「厳美渓(Genbikei)」があります。エメラルド色の渓流に沿った散策路がや休憩所が整備されていますので、自分のペースで自然が生み出した雄大な景色を楽しむことができます。※厳美渓では舟下りはできません。
■名物「うんだまんじゅう」と「空飛ぶ団子」
「うんだまんじゅう」とは猊鼻渓名物「運玉(うんだま)」 にあやかったお饅頭のこと。運玉自体は舟下りの折り返し地点で行う運玉投げに使用される素焼きの玉のこと。本来は対岸の岸壁にぽっかり空いた穴に運玉を放り投げるのですが、代わりに自分の口に放りこんで満願成就を祈るそうです。「空飛ぶ団子」は厳美渓名物の「郭公(かっこう)団子」で、やはり対岸にある販売所に注文すると、団子とお茶の入ったカゴが宙を滑り落ち手元に届くというもの。猊鼻渓と厳美渓は名前が似ていますのでお間違いなく。
※観光局・お問合せ先
一関市観光協会:https://www.ichitabi.jp/contact/index.php